★社員ブログ
稚内の牧場 〜サンセリテ札幌 堀さんの実家 編〜
2022.02.15
サンセリテ札幌には、北海道のさまざまな地域で生まれ育ったメンバーもいれば、本島出身で進学や結婚を理由に北海道に移住してきたというメンバーもいて、一人ひとりが思い思いに「北海道での暮らし」を楽しんでいます!今回は、稚内の牧場で生まれ育ったサンセリテ札幌・クリエイティブ担当の堀さんが登場!広大な牧場での体験と思い出を語ります。
堀さんの実家はなんと、稚内の牧場!
すみれ
堀さんの実家は牧場なんですね。
サンセリテ札幌 堀(以下、堀)
はい。稚内で酪農をしていて、主に乳牛を育て牛乳を出荷しています。牛舎が2つあって、牛は100頭くらいですね。
すみれ
子どもの頃から酪農のお手伝いをしていたんですか?
堀
物心がついたときから、子牛に餌をあげたり、牛舎の掃除をしてました。朝に放牧した牛も、夕方になると「お腹すいた、美味しい餌ちょうだい」って牛舎に帰ってくるんですよ。みんな大切な家族ですね。
札幌から稚内の実家までは、バスで6時間!?
すみれ
大学を卒業された後は札幌にあるサンセリテ札幌にお勤めですが、札幌市内から実家まではどれくらいかかるのでしょうか?
堀
バスで帰っているのですが、大体5~6時間はかかりますね……。
すみれ
さすが北海道、広大ですね!東京〜大阪の車移動が、ちょうど同じくらいですよ!
堀
実家へは年に2、3回帰省して、酪農を手伝っています。やっぱり牛と一緒に過ごすと落ち着きますね〜。
すみれ
札幌と稚内で、ここが違うなと感じることはありますか?
堀
稚内は札幌より風が強いので、吹雪になりやすいんですよ。なので寒さに耐えられるように、目以外は全て覆う完全防御の服装で、吹雪の中エサをあげたりします(笑)。
すみれ
すごい!堀さんはふんわり、やわらかい雰囲気をまとった方ですが、逞しさを秘めているんですね!
これでも北海道じゃせまい方!? 東京ドーム27個分の牧場
すみれ
実家の牧場は、どれくらいの広さなんですか?
堀
そうですね。両親に確認したところ、敷地としては130ヘクタールほどあるようです。調べたところ、東京ドーム27個分でした。自分で言うのは恥ずかしいですけど……。
すみれ
でました!北海道スケール!!!
堀
でも、うちの牧場は、北海道の牧場としてはそんなに大きいわけではないんですよ〜。それこそ1日で歩いて回れないくらいもっともっと広大な牧場はたくさんありますから。
すみれ
えええ、そうなんですか!?それでも、8畳のひと間のワンルームマンションで暮らしていた私にとっては、十分ビックリの大きさです!
堀
バスや電車もあまりないので、小学校までは片道1時間、歩いて通学していましたよ。隣の家までも1Kmくらいあります(笑)
すみれ
なんと……。
堀
通学途中、道路を横断中の牛の大群と出くわしたりしましたね。その時は遅刻覚悟で、渡り切るまでひたすら待っていました(笑)。
家族総出の一大イベント、牛の出産。
すみれ
すでに北海道ならではのお話が山盛りですが、牧場ならではのイベントについても聞かせてください!
堀
やっぱり1番は、牛の出産ですね。子牛の足にロープをくくりつけて、家族総出で引っ張るんです。
すみれ
童話の『おおきなかぶ』みたいな感じですか?
堀
まさにそんな感じです!母が弟を引っ張って、弟が父を引っ張って、父が子牛を引っ張って、「オーエス!オーエス!」と。
すみれ
でもカブを抜いて終わった童話のように、子牛が出たらハイ終わりとはいかないですよね。
堀
そうです。生まれたら、子牛は寒くないように草で体を拭いてあげて、お母さん牛はしっかり休ませます。生まれた瞬間は、すごく感動しますね。
春先の恒例行事、電線巻き
堀
ほかにも、「電線巻き」という、牧場の端に電線を張る作業があります。雪解けの春、放牧した牛が逃げないように必要なんですよ。
すみれ
広大な敷地のようですし、かなり大変なのでは……?
堀
2〜3日はかかるので、これも家族の一大イベントですね!電線を張った後は電気を流して、牛が近づかないようにしています。
幼い頃には、こんな事件も……。
堀
幼稚園くらいの時に、遊んでいた弟の服がその電線に引っかかってしまったことがありました。
すみれ
えっ!?電気が流れているんですよね!?
堀
そう。それで焦って助けようとして、私まで服が絡まってしまったんです……!
すみれ
それは子ども心にすごく怖いですよね。それからどうなったんでしょうか?
堀
電気で手がビリビリするものですから、怖くてわんわん泣きました(笑)。大声で泣きじゃくっていたので、声に気づいた親が助けてくれたんです。
牧場でのうま〜い食事
堀
牧場で作業する時は、合間に母が作ってくれたおにぎりを食べるんです。巾着袋の中に、アルミに包まれたがっしりと大きいおにぎりとお茶が入っていて。それをみんなで、牧場の芝生に座ってモリモリ食べるんです。
すみれ
うわー!なんておいしそう!想像するだけでよだれが出ちゃいます!
幻の料理、牛乳豆腐
すみれ
搾りたての牛乳が飲めるのは、酪農家の特権ですよね。
堀
そうですね。搾りたての美味しさは格別です!市販の牛乳は味が薄いなと思ってしまうくらいに濃厚です。
すみれ
普通に飲む以外にも、牛乳を活用したりするのでしょうか?
堀
牛乳豆腐を作ります。牛乳を火にかけて作る、濃〜い牛乳味のカッテージチーズのようなものです。醤油をかけると最高です!
すみれ
美味しそう!ぜひ食べてみたいです!
堀
それが、牛乳豆腐は酪農家じゃないと食べられないんですよ。牛乳豆腐の材料は、子牛を産んだばかりのお母さんが最初の一週間ほど出す「初乳」と呼ばれるミルク。普通の牛乳とは成分が違うので出荷できないんです。
すみれ
そんな〜!酪農家さんだけが食べられる、幻の味なんですね。
しめくくり
すみれ
幼い頃から、寒さに耐え抜き、広大な土地をかけ回り、美味しいご飯をいっぱい食べて育った堀さん。本土ではできない暮らしの経験は、今の健康観につながっているのでしょうか?
堀
そうですね。今でも実家の生活は恋しくなります。牧場で育ったおかげで忍耐力も人一倍つきましたし、今の健康も、牧場での生活があったから。稚内は厳しい環境だからこそ、嬉しいことや、幸せなことにも気がつきやすいんです。「今日は吹雪じゃないから餌があげやすい!嬉しい!」って。これって、とても豊かな生活だと思います。
この記事を書いた人
すみれ
サンセリテ編集室イラストレーター。東京都生まれ三重県育ち。営業とイラストのお仕事を担っています。お弁当持って山に登ったり、サイクリングに出かけたりするのが最近のブーム。パン屋と精肉店に目がない。