★社員ブログ
苦手があるということは、得意があるということ。
2022.03.22
誰もが抱えるコンプレックスや欠点。でもそれも捉え方次第で、バネとなり生きる原動力になったり、その人ならではのチャーミングポイントになったりもします。「コンプレックスと仲良く生きていくためには?」をテーマにした本連載。第2回目は、運動オンチの話。苦手と得意の関係性について考えます。
子どもの頃から、スポーツが苦手です。運動神経が悪いのです。それがコンプレックスです。だから、体育の時間は憂鬱でした。
これが例えば算数ができない、国語ができないというのであれば、それほどコンプレックスには感じていなかったと思います。机の上の勉強ができなくても自分一人の問題ですが、チームスポーツだと下手が迷惑になってしまいます。チームの一員としての申し訳なさゆえに、僕のコンプレックスはどんどん深まっていきました。
ただ、僕の場合、運動神経が悪いというより、不器用という言葉が適切かもしれません。というのも、全ての運動、スポーツが苦手ではなかったからです。サッカー、テニス、バスケ、ハンドボール、バレーは苦手でしたが、水泳、陸上は割と得意だったと思います。
つまり、球技ができないのです。道具を使うのが、まるで下手。サッカーのシュートは明後日の方向に飛んでいくし、テニスはそもそもラケットにボールが当たらない。自分の体から離れている、ボールという不思議なものを扱うのが難しいのです。
まわりからは、運動神経が悪くてダサいやつと思われていたでしょう。いや、実はみんなはそんなに気にしてなかったかもしれない。僕の運動神経なんて、とんと興味がなかったかもしれない。でもダサいと思われているなと、少なくとも僕自身は思っていました。だからコンプレックスなのです。
そんなコンプレックスが晴れる瞬間が、夏の時期です。理由は単純で、プールの時間があるからです。いつもは下手くそだった僕が、みんなより速く、長い距離を泳げる。普段は味わえない優越感に浸れました。明らかに普段の授業とは、体育教師の目が違っていたのを覚えています。(もしかしたら、いや結構、これも勘違いかもしれません!)
水泳が上手にできたのは、水泳を習っていたからという理由が大きいです。でも、サッカーの習い事が続かなかった僕が水泳を続けられたのは、やっぱり得意だったからだと思います。コンプレックスを見返せる喜びから、得意をより伸ばす努力が自然とできたのだと思います。結果、水泳や陸上といった、道具のいらない持久力が重要なスポーツを通じて、体力という武器も手に入れました。
僕にとって、コンプレックスとは「そのものを解消することはできないけど、他で頑張るきっかけを作ってくれる」ものです。
学業に打ち込んでそこそこの学校に行けたのは、運動が苦手だったから。音楽や読書という趣味を得たのも、ゲームが苦手だったから。心を落ち着けて文章を書くのが好きになったのも、せっかちな性格が災いしていつも自分が喋った内容に満足できなかったから。子どもの頃からのコンプレックスは、今の自分を形成する糧になっています。
七人の侍にしても、アベンジャーズにしても、いいチームには各人の得意分野があります。何も、自分で苦手を補う必要はありません。その人の苦手は、チームの別のメンバーが補ってくれます。それぞれに違った苦手と得意があっていい。僕の場合は、運動オンチを誰が補ってくれるのかはよくわからないけれど、少なくとも運動オンチをバネに伸ばした体力や学業、趣味の世界が活きている場面がたくさんあると感じています。
だから胸を張って言えます。「コンプレックス万歳!」どころか、「コンプレックスありがとう!」と。
北 堅太
サンセリテ編集室ライター。埼玉生まれ埼玉育ち。仕事は広告関係。本を読んだり、映画を見たり、音楽を聞いたりするのが好き。最近の悩みは、部屋中に溜まったものの片付け。アトピー克服を目標に、特に食生活や睡眠習慣に気をつけている。夜ご飯の納豆とヨーグルトは欠かせない!