人生交差点

メンズ美容の魅力を日本中に広めるぞ。後編

2022.11.02

ひょんなきっかけで思わぬ方向へ進んでいく。それが人生というものです。化粧品メーカーに勤めながら、モデルやインフルエンサーとして表現活動を続ける伊藤尚夢(なおむ)さん。表舞台で活躍することになったきっかけは、友達が内緒でコンテストに応募したことだったそう。某事務所のアイドルみたいですね!30歳を目前にこれまでに直面した「人生交差点」について、一つひとつ教えてくれました。

サンセリテ編集部
インタビュアーのとやまです。前編に引き続き、伊藤尚夢さんの「人生交差点」に迫ります。後編は、大学を卒業したあとの進路について。その前に、一波乱あったという「就職活動」について、聞いちゃってもいいですか?

「ごめんなさい。内定、辞退します!」 by自分

就職活動では、出身地である北海道の企業と、テレビ局やテレビ番組の制作会社などを受けていました。そこでとある企業から内定をもらい、ホッとしていたんですけど。4年生の秋になって、「やっぱりものづくりに携わりたい!」という思いが湧き起こり、内定を辞退しました。

それが大変だった!めちゃくちゃ言われましたよ、親からも、会社からも。というのもすでに配属先が決まっていて、挨拶も済ませていたんです。「なにが理由なんだ!?」って周囲をざわつかせてしまいました。めちゃくちゃ迷惑なやつですよね。それはわかっています。でも、自分の正直な気持ちに逆らえなかったんです。

「メンズ美容の魅力を広めませんか?」 by 美容サロンの人

内定を辞退したのには理由があります。「ミスターサークルコンテスト」に出演したあと、ABEMA TVのとあるテレビ番組に呼んでもらい、全国放送され、それがきっかけで僕のSNSアカウントのフォロワー数がぐんと伸びた。SNSではさまざまな企業から、「コラボレーションしませんか?」というお誘いのメッセージが届くようになりました。

その中で、表参道にある美容医療のサロンから「メンズ美容を世の中に広める活動を一緒にやりませんか?」という依頼があって、「確かにメンズ美容のことを発信している人って案外少ないなぁ。まだ世の中に広まっていない、でも、優れた商品やサービスの発信に貢献できるかもしれない!」と思ったんです。僕自身、美容に興味があったこともあり、引き受けることにしました。

商品やサービスのプロモーションをするインフルエンサー活動は、内定をいただいた企業の仕事と並行して続けるのは難しい。できれば、プロモーション活動を仕事としてもやっていきたい。だから、内定を辞退したんです。

その企業には迷惑をかけたと反省しています。でも、あのとき、勇気を出して決断してよかった。結局、卒業後は、動画を使ったプロモーションの会社に入社し、いろんなプロモーション案件に携わらせてもらいました。

カットモデルをしていた頃。
自分から発信することが面白くなっていきました。

「自分を魅せるより、作品を魅せたい!」 by自分

僕は今、化粧品メーカーに転職し、商品の魅力を発信する仕事をしています。まさにやりたかったことのど真ん中です。

もちろん仕事と並行してインフルエンサーとしての活動も続けています。メンズ美容に関するさまざまな情報を発信して、いろんな人に知ってもらえたらいいなという思いでやっています。YouTubeを撮影したり、インスタグラムの画像を編集したり、商品のレポート記事を書いてみたり。発信に必要なことはなんでも挑戦します。

最近、とある企業から、「メンズネイルの魅力を発信するお仕事」を依頼してもらったんですよ。手の爪も、足の爪も、こんな風に色をのせると綺麗でしょう?これ実はシールなんです。だからマニキュアを塗ったことがない男性でも、気軽に挑戦できます。好きなシルバーアクセサリーとの相性も良く、ハマってしまいました。いいなと思える新しい商品と出会えることも、インフルエンサーの楽しみと言えるかもしれません。

ハンドはブラック。フットはブルー。
ファッションに合わせて楽しんでいるそう。

自分を知ってもらいたい、自分が前に出たい、という気持ちはさらさらないんです。それよりも、「この作品(商品)をどう魅せるか?」を大事にしたい。僕はあくまでものづくりの素材の一つであって、必要があればモデルになるだけです。いろんな人と力を合わせて、ものづくりできることがとても楽しいです。

サンセリテ編集部
日本中の企業やブランドから、「うちのプロモーション活動をサポートしてほしい!」と声がかかる伊藤さん。そのたびに、一社一社、一つひとつの商品と真剣に向き合うそうです。

商品の魅力を自分なりの視点で紐解き、写真や動画や文章といったいろんなかたちで発信する。その発信の過程をすべて「ものづくり」と捉えているところにも共感しまくりでした。ものづくりはつくって終わりじゃないですよね!

そういえば…伊藤さんとサンセリテ札幌との関係をお伝えしていませんでしたね。実は伊藤さん、サンセリテの「究(KYU)」というスキンケアブランドで、公式アンバサダーを務めてくださっているんです。どうしてサンセリテをサポートしようと思ったんですか?

「究(KYU)の魅力を一緒に引き出してください!」 byサンセリテ札幌

サンセリテ札幌を知ったのは、インスタグラムで「公式アンバサダー」を募集する記事を目にしたとき。それまでは知りませんでした。僕自身、長くメンズ美容に関する発信を行ってきたことから「何かお手伝いできないかな?」と思って興味を持ったのですが、僕が生まれ育った「札幌の会社」ということが大きかったと思います。高校時代、大好きで通っていたケーキ屋さんが入っていた建物にある会社なんだ!って親近感が湧きました(笑)

アンバサダーに選んでもらったときにはすでに、「究(KYU)」というブランドは誕生していて、僕が0から作り上げたわけではありません。でも、「まだまだその魅力が世の中に伝わっていない!」と感じました。とてもいい商品なのにもったいないなぁと。だから、サンセリテ札幌さんと一緒に「究(KYU)」というブランドを、0から1にしていく経験が積めるんじゃないか?と思いました。 実際に山本社長をはじめ、社員のみなさんとお話しするなかで感じたのは、小さい会社だけど、作り手の皆さんの顔がよく見えて、信頼できるブランドだなということです。僕はメンズ用のファンデーションを使う日もあるので、クレンジングオイルから、洗顔、化粧水、オールインワンジェルまでトータルで使っています。1年近く使わせてもらっていますが、僕の日常に欠かせない存在になりました。

スキンケアブランド「究(KYU)」について語る、伊藤さん。

気になるのは、製造工程です。スキンケア商品の成分自体は、各社同じようなものを使っていると思うのですが、実際にどのような環境でものづくりがされているのか、その工程や製造現場を見てみたい。叶うなら、実際に工場に行って、作り手の皆さんからお話しも聞いてみたいです。

サンセリテ札幌をはじめとして、僕はこれからも自分という素材を使って、日本中のいろいろな商品を世の中に広めていきたい。そのなかでも特に、メンズ美容の魅力を広めていく活動はライフワークとして続けていきたいですね。僕の発信がきっかけで、知らなかった人に魅力が届いたら、それほどうれしいことはありません。

サンセリテ編集部
周囲の声に耳を傾け、素直に受け入れ、やってみよう!と挑戦してきたから、「本当にやりたいこと」と出会うことができた伊藤さん。

すごいのは、どんなきっかけもすべて自分事と捉えて、うまくいかなくても誰かのせいにしなかったこと。大学受験も、コンテストも、主演舞台も、メンズ美容のプロモーション活動も、すべて「自分のやりたいこと」として昇華させてきたんですから。

これぞ、男気に溢れた人。惚れ惚れしました!おわり。
この記事を書いた人

外山 夏央

サンセリテ編集室統括局。新潟県生まれ東京都在住。1年の3分の1が雪に覆われる豪雪地帯で育つ。それゆえカラッと晴れた冬空の下で飲むビールが大好物。好きなものを好きなだけ食べて飲みたいがために、31歳にして初めて筋トレを始める。背中の贅肉とおさらばするのが今の目標。

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