西洋医学と東洋医学

第5回 東洋医学の得意分野

2022.12.19

出演者の紹介

商品開発員 矢内(やない)
サンセリテの商品開発員としてサプリメント・化粧品の企画開発、素材選定、製造・品質管理などを担当。「健康管理士一般指導員」、「日本化粧品検定1級」の資格を持つ。
鍼灸師 笠原(かさはら)
自身のケガがきっかけで、はり師・きゅう師の資格取得。10年間、鍼灸師として患者一人一人と向き合う。その経験を活かし、現在はサンセリテでお客様の健康のお悩みサポートで活躍中。

東洋医学が治せないのは、恋わずらいだけ!?

矢内
これまで4回に渡って西洋医学と東洋医学の違いを学びましたが、ここで一度おさらいをします。

西洋医学は「病名治療」といって医師の診断のもと病名が特定され、全国どこでも同じ治療が受けられると。一方、東洋医学は「随証(ずいしょう)治療」といって、患者さん個々の全身の状態を細かくみて、鍼灸治療などが行われるんですよね。
笠原
その通りです。東洋医学では「証を立てる」といいます。虚証なのか、実証なのか。右なのか、左なのか。患部を直接触って確認したり、舌や目の下の粘膜をみたり、脈をとったりして、全身の状態を把握していきます。これを視診と触診といいます。
触診を行い、不調のある部位の確認をしている様子
矢内
「既病」と「未病」の違いもありましたね。東洋医学では、「未病」といういわゆる全身的な不調やなんとなく調子が悪いといった病名のつかない症状も治療の対象になって、守備範囲が広い印象を持ちました。
笠原
はい。白か黒かと断定するのではなく、白から黒になるまでのグレーの状態も含めてすべてに対応できる のが東洋医学です。鍼灸の恩師が昔、「東洋医学で治せないのは恋の病だけ」と話していましたよ(笑)。

東洋医学の得意分野

矢内
ところで、西洋医学と東洋医学にはそれぞれ得意分野はありますか?
笠原
そうですね。たとえば、西洋医学の得意分野は手術です。日本人の死因の1位であるがんは、手術や抗がん剤治療を行いますが、東洋医学よりも西洋医学の方が有効性は高いでしょう。

一方、診断名がつかない症状には東洋医学がうってつけです。西洋医学的には「病気」として認められなくても、患者さん本人は「問題がある、普段と違う」と感じている。何か解決できることはないかと考えるのが東洋医学です。
矢内
きちんと棲み分けがされているんですね。東洋医学に携わる笠原さんは西洋医学に肯定的なようですが、西洋医学に携わる方は東洋医学をどのように捉えているんでしょうか?
笠原
正確なことは分かりませんが 、東洋医学には科学的に解明されていないことも多いため、西洋医学に従事する方のなかには東洋医学に対して、少し懐疑的な方もいらっしゃると思います。

 違和感や不調の原因を探ってみる

矢内
なるほど。病気や体調に関しては数値的根拠で判断したくなる傾向があるんだね。とはいえ、患者さん自身が「何かが違う」と感じているなら、受け止めてあげたいですよね。
笠原
そうですね。何か身体に違和感や不調を感じるときは、「何かしらの原因」があると思うんです。もちろん原因不明の病もたくさんありますが。だから、東洋医学は視診と触診だけでなく、問診に時間 をかけるんです。それは「3 日前に尻餅ついた」といった「あ、そういえば!」という情報を引き出したいからです。
矢内
自分の身体を理解するためには、行動や習慣を振り返り、「原因を探ってみること」が重要なんですね。
笠原
はい、生活と健康は密接に関係していますから。自分で自分の身体に耳を澄ますのがとても大事です!
矢内
次回は笠原さんと一緒に、生活習慣と予防についても考えてみたいです。次回もよろしくお願いします。

西洋医学・東洋医学における「予防」とは? 次回へ続く!

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