西洋医学と東洋医学

第3回 鍼灸治療とは?

2022.07.26

出演者の紹介

商品開発員 矢内(やない)
サンセリテの商品開発員としてサプリメント・化粧品の企画開発、素材選定、製造・品質管理などを担当。「健康管理士一般指導員」、「日本化粧品検定1級」の資格を持つ。
鍼灸師 笠原(かさはら)
自身のケガがきっかけで、はり師・きゅう師の資格取得。10年間、鍼灸師として患者一人一人と向き合う。その経験を活かし、現在はサンセリテでお客様の健康のお悩みサポートで活躍中。

 鍼(はり)治療のしくみと効果

矢内
鍼灸(しんきゅう)は文字通り、鍼(はり)と灸(きゅう)を使った治療のこと。でも、実際どんな仕組みのものなのか、よく知りません。詳しく教えてもらえますか。
笠原
よくぞ聞いてくれました。「言葉は知っていても何かわからない」という声は、案外多いんですよ。まず、鍼治療から説明します。鍼には、大きくわけて3つの効果があります。

たとえば、肩こりは筋肉がかたまっている状態です。そこに鍼を刺して、あえて筋肉を傷つけることで体のなかに小さな傷を残します。その傷を治そうと血流が集まってきて、酸素や栄養が運ばれ、回復に向かっていくという仕組みです。
矢内
なるほど。あえて傷をつけるという考え方は興味深いですね。鍼は肩こり、腰痛などの患者さんがメインですか?
笠原
多くはそうですね。肉離れやねんざといった外傷への治療にも、鍼は効果的です。最近は、美容鍼も人気です。効果に即効性があり、肌のトーンが明るくなりますよ!
矢内
鍼を刺す場所はどういうところですか? 筋肉ですか?
笠原
実は西洋医学的なアプローチと東洋医学的なアプローチで、鍼を刺す場所が異なります。西洋医学では、筋肉と神経にアプローチします。東洋医学では、ツボにアプローチします。鍼灸師によって得意分野がありますが、僕は中立的な立場で、患者さんの症状によってどちらの方法でアプローチするか選択しています。
矢内
西洋と東洋で使い分けをしているんですね。面白い! 「鍼を刺す」という言葉からは、痛いとか怖いといったイメージが連想されますが、実際はどうでしょう?
笠原
鍼灸で使う鍼は、とても細い。髪の毛よりちょっと太い程度です。だからほとんど痛みはありません。また、鍼は血管よりも柔らかく、血管を避けるように筋肉や神経にアプローチできます。
1本1本使い捨てのディスポーザブル鍼。
短い鍼の付いているシールタイプも。
矢内
ほとんど痛みもないので、いたずらに恐怖心を抱く必要はないですね。
笠原
実際に刺してみるとよくわかります。矢内さん手を出してください。親指と人差し指の間にある「合谷(ごうこく)」という有名なツボに刺してみましょう。
鍼を刺している様子。
矢内
お、実践ですか。お願いします!( 鍼を刺す) あれ、まったく痛みはありませんね。気づきませんでした。
笠原
そうなんです。せっかくなのでこのまま10分、置鍼(ちしん)しましょう。刺している時間が長ければ長いほど、治療による刺激量を増やすことができます。

 灸(きゅう)治療のしくみと効果

矢内
続いて、灸についても教えてください。どんな道具が使われるのですか?
実際に使用していた「もぐさ」と、火をつける線香。
笠原
よもぎなどの薬草から作られている「もぐさ」と呼ばれる道具を使います。ツボの位置に火をつけたもぐさを置き、温熱刺激を与えます。やけどするような熱さはなく、心地よい温かさが続きます。灸にも大きく分けて3つの効果があります。
矢内
①の血管拡張は、鍼と同じような効果ですね。免疫力アップとはどういう仕組みですか?
笠原
簡単に説明すると、温めることによって血流が増え体温が上昇し、免疫細胞が活性化するということです。白血球は予防と治癒する力に優れていますよね。多すぎても少なすぎてもよくないといわれている白血球を、灸治療で適度な量に保つようコントロールしています。
矢内
今回も貴重な話をありがとうございます。次回は、「ツボ」について教えてください。

 次回は、不思議が多い「ツボ」に迫ります! 次回へ続く!

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