西洋医学と東洋医学

第1回 西洋医学と東洋医学の違い

2022.04.02

出演者の紹介

商品開発員 矢内(やない)
サンセリテの商品開発員としてサプリメント・化粧品の企画開発、素材選定、製造・品質管理などを担当。「健康管理士一般指導員」、「日本化粧品検定1級」の資格を持つ。
鍼灸師 笠原(かさはら)
自身のケガがきっかけで、はり師・きゅう師の資格取得。10年間、鍼灸師として患者一人一人と向き合う。その経験を活かし、現在はサンセリテでお客様の健康のお悩みサポートで活躍中。

「欧米」の西洋医学・「アジア」の東洋医学を比べてみる

矢内
西洋医学と東洋医学。その具体的な違いについてご存知ない方も多いと思います。かくいう私も曖昧なところがあります。そこで、鍼灸師として10年以上患者さんと向き合ってきた笠原さんと、西洋医学、東洋医学の違いをつまびらかにしていきます。
笠原
矢内さん、ポイントごとに「比べて」みると分かりやすくなりますよ。
笠原
まずは、「病名治療」と「随証(ずいしょう)治療」の違いから。日本の病院はいわゆる西洋医学的な立ち位置です。病院へ行くと病名が特定されて、薬をもらったり、処置してもらったりしますよね。これを「病名治療」と呼んでいます。一方、東洋医学は西洋医学とは異なり病名をつけません。病名ではなく患者さん個々の全身の状態を表した診断に基づいて、鍼灸治療、漢方治療、手技治療などを行います。これを「随証治療」と呼びます。

「普遍性」の西洋医学と「個別性」の東洋医学

矢内
「病名治療」と「随証治療」についてよく分かりました。次に「普遍性」と「個別性」について考えてみます。東洋医学では、人によって体のつくりや性質、生きてきた経歴さえも異なるため、患者さんの仕事内容やスポーツ歴などバックグラウンドについて深くヒアリングすると聞きました。
笠原
はい、「個別」に診るのが東洋医学です。1番分かりやすい例は腰が痛いとき。デスクワークの人と、重い荷物を持つ仕事の人では、腰痛の原因は異なります。ストレスが原因の場合も多いです。東洋医学は2000年積み重ねてきた豊富な事例から、「個別」に治療方法を導き出す、オーダーメイドの視点を持っているんですよ。
矢内
西洋医学では「病名」ごとに治療法がガイドライン化されていますよね。全国共通で「普遍的」な治療ができるともいえます。新薬も開発され、ガイドラインも変わっていき、時代の変化に合わせて技術も進化していますね。
笠原
一方の東洋医学は2000年以上、考え方のベースが変わっていません!

東洋医学の得意分野「未病を治療する」

矢内
「既病を治す」と「未病を治す」という違いも面白いですよね。西洋医学は病名のつく症状が治療の対象になりますが、東洋医学では「全身的な不調」や「なんとなく調子が悪い」といった病名のつかない症状も治療の対象になる。いわゆる「未病」のことですね。「未病」の具体例を教えてください。
笠原
患者さんが腰痛を訴えたら、西洋医学ではまずMRIやレントゲンを撮影します。画像診断では身体の内部まで見えるようになりますが、時折、画像では異常がみられないことがあるんです。患者さんは痛いと訴えているのに。健康と病気の間にある未病(不定愁訴ともいう)を治療するのが東洋医学の得意分野なのです。

<対談メモ>人間本来の自然治癒力を引き出す東洋医学

痛みや悩みがある部位への治療とともに、人間が本来備わっている自然治癒力を生かし、その力を活性化する鍼治療や漢方といった治療も並行して行う。 

「4つのバランス」を守り、健康的な身体づくりを。

矢内
「未病」にはいろいろな症状や悩みがあると思いますが、ほとんんどの人が「未病」を抱えていて、自分なりの経験則で解消しているのではないでしょうか。
笠原
そう思います。西洋医学、東洋医学に限らず、なるべく医療に頼らない体づくりが大切ですよね。まずは①必要な栄養を摂取し、②十分な睡眠をとり、③適度な運動を行い、④ストレスを溜めないこと。この4つのバランスを守ることで健康を手に入れたいものです。
矢内
西洋医学と東洋医学、それぞれに良さがありますから、その時々で使い分けられたら良いですね。笠原さん、どうもありがとうございます。次回は「東洋医学」についてさらに深堀りしていきましょう。

東洋医学は“人生を診る”?さらに東洋医学を深堀りします!次回もお楽しみに!

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