大人こどもよ、永遠なれ

「大人っぽい大人」を演じている32歳が、絵を描いている時は子どもに戻れるよ、という話。

2022.06.27

家族や友人などの人ではなく、「好きなもの」に救われたことはありますか?趣味や特技、モノにだって、人を救う力がある。好きなものが、自分の歴史を物語ったりすることもある。今回は、子どもの頃から好きだったお絵描きに救われたよ、というお話です。小学1年生から32歳の現在にいたるまでのお絵描きの歴史も一緒にご覧ください。

今回の投稿者
東京うまれ、
三重育ちの
大人こどもです。
すみれ

私は一般的な「大人」からズレているかもしれない・・・

大人子どもよ、永遠なれ。

このコラムに私なんかが登場してもいいのかな・・・と最初ちょっと戸惑いました。なぜなら、自分のことを「ちゃんとした大人になれていない」って思っているから。私って、一般的な「大人」からズレてるんじゃないかな。未熟なんじゃないかな。いや、むしろどんどん子ども化してるんじゃないかな、と思う時もある。

仮面をかぶっていると言うとちょっと大袈裟かもしれないんですけど、「大人っぽい大人」に見られるように、毎日ちょっと頑張っている。ほんとうは変なパーカーとか着てゆるっと気ままに過ごしたいけど、ばっちりメイクして、パリッとしたジャケットを着て、ヒールを履く。肉だけをがむしゃらに頬張りたいけど、周囲の注文にあわせて「私もおなじものを」と空気を読む。

ありのままの自分は、かなり子どもだから。大人を演じないとヤバい!そんな意識が、私の心にはずっとあります。

小学3年生の時に「わりとできる子」から「できない子」へ。

なぜ「大人っぽい大人を演じる」自分になったのか。思いあたる出来事があります。私は生まれてから小学校3年生まで、東京の世田谷で育ちました。小さい頃は、前向きで活動的で「私ってすごい!」と自信に満ち溢れている子でした。「私なんて・・・」とすぐに自分を卑下してしまいがちな今の性格と真逆です。

理由はわりとシンプルです。小学校3年生の時に、父親の地元である三重県に引っ越して、環境が一変。それまでは周囲と比較して「わりとできる子」「自信のある子」だったのですが、突然「できない子」「自信のない子」になってしまったのです。

一般的なイメージでは、地方より東京のほうが、学力レベルが高そうじゃないですか。でも、私の場合はちがった。振り返って気付いたのですが、引越し先が、いわゆるニュータウンと呼ばれる新興住宅地で、教育熱心なご家庭が多いエリアだったんですね。まわりのお友達はみんなすごく勉強ができた。のほほんと自由に生きていた東京の子だった私は、突然「できない子」になってしまったんです。

引っ込み思案だって、何かを吐き出したい!

授業は楽しくない。発言もできない。どんどん引っ込み思案になる。クラスのなかで一番目立たないすみっこにいる感じの子どもでした。自信がなくなって、何にもなくなって、唯一残ったものが「絵」でした。

引っ込み思案な子どもでも、何か「吐き出したい」ものはあるわけです。学校で嫌なことがあって落ち込んだり、親に「ギャルっぽい格好は禁止」と言われてプンプンしたり、エヴァンゲリオンに熱狂したり、MOTHER2という普通の人が主人公のロールプレイングゲームにハマって、ダメな私でも次のステージではまたやりなおせるかも!と勇気をもらったり、いろんな感情がある。その気持ちのもっていきどころが、私にとっては絵でした。

描いている時は無心になれる。正解もない。できる、できないという価値観にしばられなくてもいい。誰かの目を気にしなくていい。

小学一年生の頃の絵。
高校2年生の頃の絵。
美味しかったものは描きたくなる。
感動したことも描きたくなる。

子どもに触れると、自分の子ども時代を振り返ることができる。

最近、友人の子どもたちと遊ぶ機会があって、一緒にお絵描きをしました。「こいのぼりってどうやって描いたらいいの?」と聞いてくれる子がいたり、線を一本入れただけで感動してくれる子どもがいたり。逆にカッチカチに固まって筆が進まない子もいて。そっかぁ、そうだよね。子どもって自由で天真爛漫なところもあるけど、型にはめられて窮屈になっちゃうところもあるし、なんだか私もそうだったなぁと、ふと思った。

そんなこんなな私ですが、この秋、お母さんになります。以前の私だったら、子育てできるか不安でしょうがなかったと思いますが、不思議と今はそんな不安はない。人間だれしも、できること・できないことがあって当たり前だよねとか、自分自身のでこぼこを受け止められるようになったんだと思う。お腹の赤ちゃんは、今日も元気にぽこぽこお腹を蹴ってくれています。元気でいてくれてありがとう。ただそこに存在してくれていることそのものに、毎日感動しています。

この記事を書いた人

すみれ

サンセリテ編集室イラストレーター。東京都生まれ三重県育ち。営業とイラストのお仕事を担っています。お弁当持って山に登ったり、サイクリングに出かけたりするのが最近のブーム。パン屋と精肉店に目がない。

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