人生交差点
プロバレー選手×小学校教師の人生。後編
2022.08.01
サッカー、野球、バスケットボール、卓球、ラグビー。日本にはいろんなスポーツのプロリーグがあります。今回ご紹介するのは、「V(バレーボール)リーグ」で活躍する、サフィルヴァ北海道の青島賢司選手。実は、現役選手でありながら、小学校教師でもあるという、変わった経歴の持ち主です。スポーツ選手と先生、どう両立させているの!?人生という試合にどう臨んでいるの?青島さん、教えてください!
釣りにはロマンが詰まっている。
趣味の話、聞いちゃいます?長くなりますけどいいですか?(笑)不動の趣味は「釣り」です。妻も教員をしていますし、3歳の息子もいて、バレーを続けることで家族には負担をかけている、という自覚はあるんですが。どうしても釣りが辞められない(笑)。
基本は海釣りですね。港から、磯から、砂浜から、今の時期ならサクラマス、イカ、ヒラメが狙い目です。イカは短時間で10杯、ホッケなら3桁いきます。食卓的にはイカとかホッケが喜ばれるんでしょうけど、行ける回数が限られているので、僕は大物を狙いがち。60センチのサクラマスとか釣りたいですね。釣りはロマンが詰まっています。
最近、こんなことが起こりました。体調管理のためにチームから渡されている「万歩計機能の付いた腕時計」は、「8000歩を超えるとチームに連絡が入る」というシステムなのですが。先日、朝の4時に海釣りをしていたとき、8000歩に達してブルブルっと震えたわけです。釣り糸を巻き取る腕の動きがカウントされちゃって(笑)。その日は最終的に3万歩に達していました。チームのトレーナーは万歩計の数値を見て、どう思っているんでしょうね(笑)。
釣具メーカーさんや釣具店さん、ぜひスポンサーになってください!(笑)
時間が足りない!
アウトドアも好きです。特にキャンプですね。去年、妻がハマってくれたんですよ!それで、でっかいドームテントを買って、いろいろと道具も揃えました。家族のなかで「キャンプいつ行くの?」と話題になっているので、今シーズンはたくさん楽しみたいですね。
それから、家庭菜園もやっています。やまわさび、なす、ねぎ、大葉、トマト、たまねぎ、じゃがいも、さつまいも、きゅうり、枝豆、にんじん。秋には大根も植えたい。今の特任校では畑をよくやっていて、詳しいベテランの先生がいらっしゃるので、教えてもらいながら。自給自足生活ができちゃうほどたくさん実っていますよ。
DIYも好きですね。家を建てるとき6畳くらいの趣味室を作って、釣り道具なんかはそこに置いているのですが、道具の「壁面収納」は自分で作りました。先日は息子のために「絵本の本棚」を。一本の板からいかに端材を出さずに作れるか、何回も、何回も、計画を立てて作りました。
人生楽しいです!やりたいことがいっぱいあって、時間が足りないんですよね。好きなことは無限にできますね!
ただ、やりたいことをやりすぎて、妻にはよく怒られます(笑)。3歳の息子はすっかりおしゃべりも達者になり、可愛くてたまりません。シーズン中は遠征も多いので、家にいるときは息子のお迎え、夕飯づくり、お風呂に、洗濯、積極的になんでもやるようにしています。
チームのメンバーや、子どもたちからも厚い信頼を置かれているのは、裏表なく、好きなことに全力だからかもしれません。最後に、プロバレーボール選手として、チームの目標、自身の目標について聞きました。
ファンあってのサフィルヴァです。
2022シーズンの目標はやはり「V1」に昇格することです。昨年はV2リーグ5位でシーズンを終えて、今シーズンは最低でも入れ替え戦に組み込むところまでいきたいですね。そのためには選手一人ひとりのレベルを上げないと。それから選手の補強。新戦力は不可欠なので、積極的に集めていきたいです。
戦績以外では、ファンのみなさんともっと交流する機会を持ちたいです。バスツアーを企画したり、感謝祭に招待したり。応援してくださる方が増えて、ファンのみなさんに喜んでもらえたら、私たちも嬉しいです。
クラブチームで活動していた頃は、「ファンのため」なんて意識はありませんでした。自分のため、チームのためが100%。それが、Vリーグを目指すってなったとき、応援してくださる方がポツポツと増え始めて。Vリーグに参入する前なのに、見ず知らずの方が、会場まで応援に来てくれたり、SNSにあげてくれたり。それが新鮮で、すごく嬉しかったんです。プレッシャーはないけど、頑張んなきゃ!よっしゃー!って感じます。
最近は、教え子がこっそりホームゲームを見に来てくれることも。「なんで言わないのよ。言ってくれれば手くらい振ったのに」って思いますけど(笑)、嬉しいですね。
難しい。だから続けています。
なんで僕は今も現役を続けているんでしょうね。だって、現役最後の挑戦のつもりでサフィルヴァに入って、チームはVリーグに参入できた。最大のゴールは達成されているんです。
毎年、もういいかなって思うんですよ。家族の時間も、趣味の時間もほしいなぁって。でもね、辞めたメンバーの分まで「思いを継いでいかなきゃ」って使命を感じるんです。なかにはプロとして続けたくても、契約を継続できなかった人もいたから。
体力の回復はちょっと遅くなった実感はあるんですけど、パフォーマンスが落ちたなぁって感じることはほぼありません。20代の奴らにも負けている気はしないので。辞めたメンバーの分までコートに立ち続けたいと思います。
選手を続けるもう一つのモチベーションは、子どもたちでしょうね。ジュニアのコーチとして最初に指導した教え子が、今、大学3年生なんです。関東の強豪校で活躍しているのですが、高校3年の頃から「どうやったらサフィルヴァに入れますか?」、「年末帰ってきたとき練習に行っていいですか?」って。すごい嬉しいですよ。その子と同じコートに立つことが、今の目標なのかもしれません。
バレーボールのスポーツとしての面白さですか?当たり前すぎて、分からなくなってしまいました。でもあれですね、難しいからですね。続ける理由は、うまくないから。バレーっていうスポーツは飛び抜けて難しい。うまくいかないことが多い。だから、飽きない。反省しか出てこない。
納得のいくプレーができなくて、もやっとした課題が常に残る。もう無理かな、もうキツいかなって思っても、「このまま終わっていいのか?」って声が、僕を思いとどまらせています。
バレーのように、「自分の心」というボールを、大切につなげて、つなげて、自分らしい人生を歩んでいきたい。そんな風に思うことができました。これからも応援しています!おわり。
外山 夏央
サンセリテ編集室統括局。新潟県生まれ東京都在住。1年の3分の1が雪に覆われる豪雪地帯で育つ。それゆえカラッと晴れた冬空の下で飲むビールが大好物。好きなものを好きなだけ食べて飲みたいがために、31歳にして初めて筋トレを始める。背中の贅肉とおさらばするのが今の目標。