★社員ブログ

僕にとっての宝物。妻にとってはただのゴミ。

2022.03.14

サンセリテ編集部です。卒業式、入学式、お引越しなど、春はさまざまな出会いや別れがありますね。今日は「モノにだって思い入れがあって、簡単に別れられない…」という方のコラムです。女性の恋愛は上書き保存で、男性は別名保存だと言われることもありますが、モノに対してもそうなんでしょうか?

今回の投稿者
サンセリテ編集室デザイナー
ぞの

どうしても捨てられないものって、
ありませんか?

突然ですが、みなさんが「音楽を聴く手段」って何でしょう? CD? カセットテープ? はたまたMD? レーザーディスクもありましたね。今ならApple MusicやSpotifyに代表されるサブスクが若い人を中心に多いですし、音楽を聴く手段ひとつとっても、いろいろな選択肢がある時代です。

そんな中、近年レコードが再評価されています。「アナログの音のあたたかさが良い」という20代もいれば、「昭和歌謡を集めるとなると自然とレコード」という30代、他にも「大判でジャケット映えするのが良い」とか、「物としての希少性が良い」とかとか、買う理由は十人十色。幅広い年代に静かなブームが続いています。

また、ちょっと見方を変えると…
・サブスク(Apple MusicやSpotify)→ データ。モノではない。
・レコード → モノ。しかもけっこうデカい。
といった点からして「レコードって、サブスクと真反対にあるのかも」とか考えたり。申し遅れました、担当ライター・ぞのと申します。

「捨てたら?」by 妻

ウチには妻と1歳の娘が居るのですが、昨年リモートワークベースになったのと、娘の誕生とを機に、一家で東京から九州へ移住しました。妻とは早いもので十余年の付き合いですが、引越しのたびに、いやほぼ日常的に言われる言葉があります。

「捨てたら?」

ええ。モノが多いんですワタクシ。今まで、あの手この手でその「捨てたら?」攻撃を避けてきました。中には「青春だから!」とか謎な言い訳もしてた気もします。流石に妻も辟易したのか、最近でこそその“口撃”は鈍化傾向にありますが、今まで何度言われたか分かりません。

もちろん、ごもっともだと思います。ここだけの話、自分が妻だったら「マジで頼むから、捨ててくれ。せめて50枚くらいまで激減させてくれ」と切に願うと思います。…ああ、なんだか書いてて妻に申し訳なくなってきました。。。

何がそんなに多いのか

▼主な「多いモノ」たち。
①レコード 7〜800枚程度(これでも相当減らした)
②本 1000冊以上(小説・ビジネス書等で3割、デザイン関連で3割、雑誌3割、漫画1割)
③仕事の制作物(デザイナーなので、事例として大体現物をとっています)
④仕事関連の資料(良いと思ったデザインを収集しています。冊子やパッケージなどなど。デザイナーなので…言い訳ではないですよ汗)

②と③は捨てにくい、④はちょっとグレーゾーン、という感じで妻としても①の「レコードなら捨てられるでしょう」となります。はい。まったくその通りと僕も思います。限られたスペースと掃除の労力に反し、あまり使われることのないレコードたち。ゴミと言われても仕方ありません。三軒茶屋の決して広いとはいえない賃貸に住んでいた時には、400枚ほど処分した記憶があります。

押し入れで辛酸を嘗めるレコード(タイトル写真)とは裏腹に、日を浴びる本の皆さま

レコードとの別れ ≒ 曲とのお別れ

でも思うんです。レコードを捨てるって、「曲との物理的別れ」だと。これってデータやCDと違うレコードの不思議なところで、つまり1枚1枚のレコードに大なり小なり思い出とか、思い入れがあるんです。

「これプロモ盤で高かったんだぞ」とか(当時は給料日にレコ屋に直行してました笑)、
「このジャケのパターンは流通量が極めて少ないからレアで、かくかくしかじか…」とか、
「この曲には○○ちゃんとのスイートな思い出があってだな…」とかも当然言えないですし、

そうした「捨てられない理由 四十八手」を妻にイチイチ説明したところで無意味ですし、「捨てた方がいろいろメリット大きい」のは僕も分かってはいるんです…。

「曲との物質的な別れ」は、「その曲とのお別れ」に限りなく近いです。単純にレコードでしか聞けない音源もありますし、何より「レコードで聞いていた曲」と「サブスクで聞く曲」って違うんです。「体験」として違うんでしょうね。レコード捨てたがさいご、その曲をずっと聴かないということはザラです。

これが僕の一番の言い分です。でも「だから何?」と言われれば、それまでなんです。本当に。苦笑(いよいよ肩身が狭くなってきました)

ゴミ以上、宝未満

そんな訳で、今ウチにあるレコード800枚のうちの98%は、かれこれ10年以上、針を落とされずにいます…。それでも、この子たちと別れられずにいる。ダメな自分なのは重々分かってはいるのですが…。

妻にとってはゴミとまでは言わないが、僕にとっても宝とまでは言わない。そんな存在のレコードたち。これからも、数年ごとにまとまった数を処分しながら、妻とは折り合いを付けていくのでしょう。僕は捨てるたび、こっそり新たに10枚くらい増やすのかもしれません。寄せては返す波のように、、、続

この記事を書いた人

ぞの

サンセリテ編集室デザイナー。愛知生まれ宮崎育ち。東京で約20年暮らしたのち、宮崎へJターン。以前旅行で北海道を一周した際には、初日から最終日まで高熱に見舞われ、長時間運転すれど目的地に着いた途端に唯々宿で寝るだけ。という数日だったので「北海道にはほぼ行ったことがない」という実感でいる、こじらせアラフォー。2女の父。

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