西洋医学と東洋医学
第4回 「ツボ」を知る。
2022.09.01
出演者の紹介
商品開発員 矢内(やない)
サンセリテの商品開発員としてサプリメント・化粧品の企画開発、素材選定、製造・品質管理などを担当。「健康管理士一般指導員」、「日本化粧品検定1級」の資格を持つ。
鍼灸師 笠原(かさはら)
自身のケガがきっかけで、はり師・きゅう師の資格を取得。10年間、鍼灸師として患者一人一人と向き合う。その経験を活かし、現在はサンセリテでお客様の健康のお悩みサポートで活躍中。
ツボとは“反応点”のこと
矢内
前回は、鍼(はり)治療と灸(きゅう)治療について詳しく学びました。今回は、鍼と灸、どちらにも深く関わってくる「ツボ」について知りたいです。
笠原
いきなりですが矢内さん、ツボは体にいくつあると思いますか?
矢内
う〜ん、そうですね。250個でしょうか?
笠原
残念! 正解は361個です。この数字はWHO(世界保健機関)が認定するツボの数で、正確には左右合わせて全身に700個近くのツボがあるといわれています。
矢内
世界共通で定められているんですね。ツボとはつまり何なのでしょう?
笠原
体の内側の不調が体表部に現れる反応点のことです。学術的に説明するとツボの正式名称は「経絡(けいらく)経穴(けいけつ)」といいます。「経絡」は電車でいう路線のこと。体内に張り巡らされていて、内臓や筋肉、皮膚に働きかけます。「経穴」は駅で、これがいわゆるツボになります。押すと痛みを感じるのは、体のどこかに不調があるサインなんです。
矢内
なんとも不思議ですよね。まったく関連性の見えない箇所に痛みが出るだなんて。
笠原
たとえば、歯が痛い時は、親指と人差し指の間の「合谷(ごうこく)」という有名なツボに、痛みがでるんですよ。鍼や灸でツボを刺激することで、経絡で繋がっている不調を感じる箇所が活性化され体調が整う、という仕組みです。
腰痛の原因は、肩、ひざ… ストレス!?
矢内
以前、「東洋医学は全身を包括的に診て、随証治療をする」と教わりました。「痛みが出る場所」と「治療をする場所」が異なる、そんな事例をもう一つ教えてください。
笠原
腰痛を例にお話します。腰痛の原因は、上半身かもしれないし、脚にあるかもしれないし、ストレスかもしれません。私たちは、「なぜ痛めているのか」という根本の原因を追求し、治療するよう心がけています。腰が痛いからといって、腰だけを治療するわけではないのです。
矢内
ストレス、というのは意外に思えるのですが。
笠原
腰痛の原因がストレスというのは案外多いですよ。8〜9割がストレスであるという調査もあります。
矢内
そんなに多いんですか! どんなメカニズムか教えてください。
笠原
ストレスにより血の巡りが悪くなって、腰に痛みが出る。自律神経が乱れることで常に緊張状態が続いて寝つきが悪くなり、腰に痛みが出る。このような関連性があります。鍼治療で、交感神経と副交感神経を切り替えるスイッチを入れて、リラックスできるホルモンを分泌させます。体がリラックスすると気持ちも楽になって、痛みが和らぐというメカニズムです。
愛を持って接すること
矢内
鍼灸師として患者さんに接する時、笠原さんが大事にしていた考え方はありますか?
笠原
愛を持って接することですね。たとえば私たちがもし嫌悪感を抱いてしまったら、その感情は手から伝わってしまう。「この方をなんとかしたい!」という気持ち、大袈裟にいえば「この人を好きになろう!」と思う気持ちを大切にしていました。自然と、触り方、話し方もマイルドになります。
矢内
それは大切な考え方ですね。技術はもちろんですが、心で接するのですね。
笠原
患者さんにも伝わっている気がします。患者さんが何度も足を運んでくださるのは、その整骨院の技術が高いから、というのは3割程度で「○○さんがいるから、また行きたい」という理由が多くを占めている気がします。
矢内
笠原さんの人気がまた上がってしまいますね(笑)。今回も教えてくれてありがとうございます。次回は、「予防の考え方」について聞かせてください。
「予防」にどう向き合い、どう考える? 次回もお楽しみに!