★社員ブログ

8畳間のウインブルドン。

2022.04.25

大人になると、理性を失うくらい夢中になることってなかなかないですよね。後片付けが大変とか、お金がもったいないとか、健康に良くないとか、頭が先に考えて湧き出る欲求をセーブしてしまう。今日はそんな大人の制御システムが崩壊してしまった深夜エピソードの紹介です。奥様、御愁傷様です。

今回の投稿者
テニス馬鹿ですが、
何か?
やないほだか

いつもテニスウェアで授業を受けている真っ黒焦げの「変な人」。

私はテニスが好きである。

高校・大学と体育会の部活に所属し、テニスに熱中。本当にテニスばかりしていた。

大学生の頃は、青いテニスウェアに青いラケットバッグ(ラケットが入るとても大きなリュック)が基本のスタイル。

毎日の部活に加えて、夜や土日はテニスインストラクターのアルバイトをしていたため、私服を着ることは本当に少なかった。

授業にも常にその恰好で出席していたため、クラスの友人からは「いつ見ても同じ人」と言われていた。春から夏にかけてはテニスによる日焼けで、北海道民とは思えぬ真っ黒な顔。その時期は「いつ見ても同じアジア系の人」とも呼ばれていた。

それだけテニス漬けの学生生活を送っていた。けっして上手ではなかったのだが、趣味という域をはるかに超えてテニスにのめり込んでいた。

今回はそんなテニスの話。

読む方によっては「話の本質はテニスではないだろう」と思われるかもしれないが、そのご判断は皆さまにお任せすることにする。

妻と子どもが寝静まった後の、深夜のオトナの課外活動。

さて、あれほど熱中していたテニスとも、大学を卒業し、就職し、結婚し、子どもができ、ステージが移り行くたびに距離が離れていき・・。現在は「趣味はテニスです」と抵抗感無く言えるほどの関係になった。学生当時は年間365日ほとんどテニスをしていたが、今は年間10~15日程度。テニスをする頻度は極端に減った。

そんな中でも当時と変わらず行っているのが、テニスの試合を観ること、素振りをすること。

プロの試合を参考に、自分のイメージを膨らませるのは本当に楽しい。

そんな私にとって、テニス世界大会の最高峰、ウインブルドンは一大イベント。

その日も、自宅のリビングで一人ウインブルドン鑑賞を楽しんでいた。開催地イギリスとの時差があるため、生中継は日本時間の深夜。妻と子供は就寝中。

素晴らしいプレーを観ると、ムズムズする。やりたくなる。

やはりトッププロの試合は素晴らしい。世界最高峰のプレーがテレビの中で繰り広げられる。しかし観るだけでは物足りない。プロの技術を少しでも自分のものにしようと、子ども部屋から子ども用のミニラケットを持ってきて、素振りをしながらウインブルドンを楽しんだ。

素振りをしていれば、当然ボールを打ちたくなるもので、子ども部屋からスポンジボールを持ってきて、テレビの横の壁に向かって、壁打ちをしながらウインブルドンを楽しんだ。

競技用のボールと違い、スポンジボールは壁にあたっても殆ど音も振動もしないので安心。世界のトッププレイヤーの打ち方を真似したりなんかして、屋内テニス(部屋内テニス)をエンジョイしていた。

段々熱が入ってきて、自然とラケットを振るスピードも速まる。リビングでもウインブルドンさながらの軽快なラリーが続く。

テレビの横の壁、子ども用ミニラケット、スポンジボール、環境は揃っていたかに思えたが、落とし穴があった。壁の上の掛け時計である。

今何時かな?と思う度に壁掛け時計を見上げる。無意識にその動作が行われるほど、時計の位置は頭や体に染みついているはずなのに、屋内テニスのときはそうでなかった。

渾身のショットが、ガラス製の時計を撃ち抜いた深夜3時。

渾身のショットは見事に上方の時計を打ち抜き、リビングの床に落下。ガラスが飛び散った。(大事なことを言い忘れていたが、うちの壁掛け時計はガラス製なのだ。)

ガラスが割れたとしか思いようが無いバリーン!という大きな音を聞き、寝室から妻が慌てて飛び出してきた。

流石は長年連れ添っている妻である。リビングに飛び散ったガラスと、落下している掛け時計、夫の右手に握られたラケットを見て、すぐに状況を把握した。

ガラスの片づけと妻の説教で、ウインブルドンの大事なワンシーンを見逃してしまったのは言うまでもない。

懲りもせず、深夜の屋内テニス再開。2度目の大失態。

流石に反省して、おとなしくウインブルドン鑑賞に戻ったのだが、落ち着かない。なんとかしてテニスをしながらウインブルドンを観られないものかと考え、子ども部屋の壁に行きついた。子ども部屋には、ガラス製のものはどこにも見当たらない。残念ながらテレビは殆ど見えない位置関係なのだが、それなりに壁打ちはできる。スペースが狭いのも我慢するしかない。

そう思い屋内テニスを再開して、ものの1~2分。今度は振りかぶったラケットがふすまに突き刺さった。

穴の写真はイメージです

なんという事だろうか。もう我が家にはテニスができるスペースは無くなってしまった。

幸い大きな音はしなかったし、もともと子ども部屋のふすまには何カ所か穴が開いていたし、そもそも飼い猫のひっかき傷でボロボロの状態だったので、この件は明るみに出ることは無かった。

私はこの体験を通じて、貴重な教訓を得ることができた。

人生、失敗は当然起こるものであり、大事なのはそこから何を学ぶかである。過去の失敗の上に立ち、今日を生き抜くことが人間らしさの源とも言える。私の得た教訓が、少しでも皆様の生活のヒントになれば、この上なく幸いである。

“部屋の中でテニスをするときは、物を壊さないように注意しなければならない。”

この記事を書いた人

矢内 穂高(やないほだか)

サンセリテ札幌で商品開発、企画、資材調達、在庫管理などを担当。島根県松江市出身。大学進学時に札幌に移り、そのまま札幌の女性と結婚して定住。二児の父。趣味はテニス・キャンプ・読書。健康診断オールAという体を保ちながらも、"ものもらい"発症率ランキングはサンセリテのダントツNo.1。

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